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LTV(ライフタイムバリュー)とは?計算方法やLTVの向上施策を解説
2022.02.25

サブスクリプションモデルの台頭に伴い、LTVという単語がよく使用されるようになりました。Webマーケティングに携わっている場合は、聞いたことがあるという人も多いかと思います。
LTVは簡単に言うと、顧客が生涯を通じて一つの企業にどれくらいの価値をもたらすかを表す指標となりますが、顧客との関係性が重視されていく昨今、LTVへの意識も高まっています。
今回はこのLTVの意味や、LTVを高めるための施策について解説します。
目次
LTVとは
LTVとは”Life Time Value(ライフタイムバリュー)”を略した単語で、日本語で言うと「顧客生涯価値」となります。
言葉の通り、一回限りの買い物やサービス利用ではなく、同じ人がどれくらい同じ企業の利益に貢献しているかを見る指標となります。
例えば、5000円のTシャツを生涯で三回購入すれば15000円ですが、60円のお菓子を生涯で500回買えば30000円となり、この場合は「Tシャツよりお菓子の方がLTVは高い」となります。
ここで問題になってくるのが、なぜTシャツは3回しか買われていなくて、お菓子は500回も同じ人が買ったのか、という理由です。
ただ単に「誰かが買ってくれればいい」というわけではなく、どうやって同じ製品をリピートして買ってもらったり、または同じ企業の違う製品を購入してもらえるかという考え方が重要になります。
なぜLTVを見るべきなのか
言われてみれば確かに見るべき指標であるLTVですが、なぜ最近になってLTVが意識されるようになったのでしょうか。
市場の成熟
LTVが注目され始めた理由として市場の成熟が挙げられます。成長市場、売り手市場であれば特にLTVを意識する必要はないかもしれません。
しかし、商品、サービスの飽和により新規の顧客を得にくくなった現代、特に日本市場では人口の減少などの理由もあり、魅力的な商品を作っただけでは売り上げを右肩上がりにし続けるのは難しいです。
ですので、どんな顧客にどのようにアプローチしてLTVを伸ばして行くのかは、企業にとって重要な課題となります。
One to Oneマーケティングの台頭
市場の成熟、消費者の趣味趣向の多様化により、テレビや新聞などの大きなマスマーケティングから、顧客の嗜好に併せたOne to Oneマーケティングへの以降が進んでいます。
また、これまで追えなかった顧客の嗜好は、MAツールやCRMの発展により行動履歴を分析することで企業側での把握が以前よりも容易になりました。
One to Oneマーケティングの成功でLTVを高めることに成功した企業の存在が、ますますLTVが注目される理由となっています。
LTVの計算方法
それでは次にLTVの計算方法をみていきましょう。
LTVの計算方法は以下の通りです。
基本のLTV計算方法
今までは顧客の平均購入単価のみで、一回購入されたらそれで終わりでした。しかし、LTVの考え方により、1人に対して平均の購入回数が何回あるかで企業に対して最終的にもたらす利益が大きく変わってきます。
極端な話、それまで顧客の平均単価が2000円だけどリピートされていなかった場合、1500円に値下げしても平均2回購入されるようになれば、LTVは1.5倍になる、ということになります。
新規の顧客に拡販していくだけでなく、いかにすでに取引のある顧客のLTVを高めていくか、という視点が重要になります。
長期利用顧客のLTV計算方法
月額制、またはサブスクリプションによる長期の利用である場合のLTVの計算方法は以下の通りです。
こちらはBtoBの場合によく使われる計算式となります。
状況、頻度にもよりますが、この計算式の場合は顧客が自社サービスをどれくらいの期間、契約してもらえてるかの指標が重要になります。
顧客の年間取引額にまとめてありますが、月額制であればプランの見直しなどで単価を挙げる施策も考えられますし、例えば継続年数が平均24ヶ月だったのを30ヶ月に伸ばすことができれば、単価が変わらなくてもLTVは25%向上します。
LTVの高め方
次に具体的なLTVの高め方について紹介します。
単価を上げる
LTVの計算方法にも登場しましたが、LTVを高めるわかりやすい方法の一つが商品、サービスの単価を上げることです。
「それができれば苦労はしないよ」という声が聞こえてきそうですが、確かに意味もなく単価を上げてしまうと価格による競争力が低下して、逆にLTVが低下するという状況を招きかねません。
LTVを高めるための単価アップの条件としては、「商品・サービスに付加価値をつける」「人気・競争力を高める」といった方法があります。
ラインナップを追加する
2つ目の方法が商品・サービスを追加する方法です。
開発コストはかかりますが、1つの企業において商品・サービスが増えれば、それだけ顧客から購入検討の余地が広がり、LTVの向上に期待が持てます。
クロスセル
3つ目の方法は、ラインナップの追加に関連して、顧客に販売した商品と近しい商材を提案してまとめ売りをする方法があります。
「ハンバーガーと一緒にポテトもいかがですか?」
といった具合に、クロスセルで販売する内容は、顧客が購入した商品と一緒に購入したほうがメリットを享受できる商品であることが理想です。
アップセル
4つ目の方法は「単価を上げる」と少し似ているのですが、同じ商品のアップグレード版を販売してLTVの向上につなげる方法です。
単価を上げる方法と違う部分として、単価を上げる場合はあくまで同一商品となります。ですが、アップセルの場合は同一の商品となります。
ただしセルアップの場合は事前によりグレードの高いバージョンアップ版を用意しておく必要があります。
サービス内容によっては、条件をつけて契約期間を伸ばすという方法も検討できます。
サブスクリプションモデルの導入
できるサービス、できないサービスあるかと思いますが、LTVを高めるために有効なのがサブスクリプションモデルの導入です。
月額制にすることで低単価な見せ方ができますし、「解約すると使えなくなる」という消費者の心理により一括支払いよりもLTVを向上させることが期待できます。
接触頻度を高める
LTVの高める方法の心理的な手段として有効なのが、顧客との接触頻度を高めることです。
人間、誰しもよく知らない人や怪しいと思う相手から購入したいとは思いません。それが高額であればなおさらのことです。逆に、自分が信頼している人からは安心して購入できます。
ただし、実際に何回も訪問して会いに行ったりしたら、場合によっては逆に気味わるがられてしまったり、何より体は一つなので時間がどれくらいあっても足りません。
そこで必要なのが顧客との距離感覚と顧客のファン化です。
インサイドセールスの重要性
LTVを高める方法には、価格を調整したり、売り方を工夫するといった方法がありますが、根本的な問題として顧客が購入するという意思決定を自身の中でするに至るために会社のことをよく知ってもらう必要があります。
ポイントになるのが、「商品」のことではなく「会社」のことをよく知ってもらう、という点です。
機能的な面だけを見たら、生活で必要なもの、ことを満たせばその会社、企業の商品である必要はありません。ですので、機能面だけでなく、感情的に好きになってもらう必要があります。
この時に重要になってくるのがCRM(顧客管理)です。
MAツールの導入
顧客の消費行動の複雑化に伴い、顧客との関係を重点的に管理、分析するためのCRMの導入が進んでいます。
とりわけBtoBビジネスでは、サービスの導入にあたって1人の人ではなく、複数人の意思決定者の同意が必要な上、単価も高額になりやすいです。
ですのでサービス利用までに時間がかかることも多いため、長期的な関係維持が必要になります。
「今すぐ必要ではないけど、将来的に必要になる」
という状況で、自社サービスを知ってもらうために有効な方法がMAツールの導入です。
MAツールを導入することで、集めた見込み客に対して適切な距離感でアプローチし、自社のことをしってもらうきっかけを多く持つことで、LTVを高めることが可能となります。
MAツールについてはこちらの記事で詳しく紹介しておりますのでよろしければご参考ください。
>> 【BtoBマーケター必見】失敗しない、MAツールの選び方
顧客満足度を高めてLTVを向上させよう
今回はLTVの意味やLTVを向上させる方法について紹介いたしました。
「よし!さっそくLTVを上げよう!」
と思っても、急に上げられるものではありません。
単に価格を上げただけでは競争力を失うだけですし、必要ないものをセット売りしても余計にLTVは下がるだけです。
顧客が何を求めていて、どんな需要があって、自社の強味が何かなどをしっかり分析し、戦略を立てた上でLTVの向上をめざしましょう。
また、LTVの向上にはCRMが有効です。ぜひこの機会に、MAツールやインサイドセールスの導入を検討されてみてはいかがでしょうか。
今回は以上です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。