営業ロープレの効果的な進め方!新人を即戦力にするコツとポイント
営業職となり、営業として数字を出せるようになるために必要なのは経験です。
特に新入社員がBtoBの営業マンとしていきなり現場に出て売ってくるというのはかなり難易度が高いです。かといって、OJTで先輩社員について回って、取引先との会話を聞いていたところで、自ら発言せずに座って先輩の背中を見てるだけで営業スキルを盗める人はなかなかいないでしょう。
そこで、営業として経験を積むのに良い方法が営業ロープレです。
社内で同僚相手に「お客さんだと仮定して」ヒアリングや提案を行うことで、現場さながらのアウトプットで営業としての経験が身に付き、新人を戦力として育て易くなります。
ただし、おままごとのように単に営業に行ったと仮定して営業ロープレを行うだけでは高い効果は得られません。そこで今回は、効率的に新人を即戦力の営業マンにするための営業ロープレの進め方について紹介します。
営業ロープレとは
営業ロープレとは営業をすることを想定したロールプレイングのことです。
ロールプレイングを英語で言うと「role(役割)」「Playing(演じる)」となり、言葉の通りお客さんと営業側の役割をそれぞれ演じることで、提案やヒアリングで足りない点や改善点を洗い出すための実施研修です。
新人社員にとっては営業活動の本番前の事前訓練にあたり、本番を想定したロープレを行うことで顧客対応のやり方や成約につなげるための営業トークを学ぶことができます。
営業ロープレのやり方
営業ロープレは必ず三人一組で実施します。一人は顧客役。一人は営業役。もう一人はオブザーバーとなります。
営業ロープレは時間を決めて行い、ロープレが終わった後にオブザーバーは顧客役の良かった点、改善点、営業役の良かった点、改善点をフィードバックします。
ポイントは顧客役の良かった点と併せて、改善点も同時にフィードバックを行うという点です。
この時、新人の営業マンは営業役ではなく、顧客役も行います。このロープレを行うことで、お客さんの立場に立った時にどんな気持ちになるか、提案されたときにどのように感じるかの理解を深めます。
また、チームを組む時は必ず一人、ベテランか中堅の営業マンを三人のうちの一人に混ぜるようにしましょう。
新人だけのチームだと誰も参考にならなかったり、内容がぐだぐだになってしまう恐れがありますが、ベテラン、もしくは中堅の営業マンが混じることで緊張感を保ちつつ、新人の営業マンが先輩営業マンのトークを参考にすることができるようになります。
営業ロープレのメリット
三人一組の営業ロープレを行うことのメリットは以下の通りです。
提案される側の気持ちがわかる
営業する側ではなく、営業される側の役割も演じることで、「営業される」ことに対しての客観的な視点を身に着けることができます。
また、顧客になりきることで、受け答えにおいて顧客の心がどのように変化するかを自分自身で経験することができます。
ゴールが明確になる
いきなり営業先に行ってしまうと、何を話してよいかわからずに頭の中が真っ白になってしまいがちです。
営業ロープレで事前に課題や目標を設定しておくことで、「顧客の課題解決のため」に何を話すべきかの道筋を組み立てて話せるようになります。
足りない部分や惜しい部分を洗い出すことで、実際の営業に出る前に課題解決や提案の精度を高めることが可能になります。
会話に慣れる
卒業してすぐの新人だと、まるっきり知らない相手といきなり話すということはあまり機会がありません。
ビジネスパースンとして「始めまして」の状態で相手と会話をするのは慣れが必要ですが、事前に営業ロープレを行っておくことで、話すこと自体に慣れることができます。
初めてのことで緊張するのは誰しも同じですが、話すことに慣れておくことで自信が付き、客先でも堂々と話ができるようになりやすくなります。
先輩の営業トークを盗める
OJTの実地研修で客先についていく場合でも先輩営業マンのトークは聞けるかもしれませんが、やはり自分で話さないとイメージがつきにくいものです。
その点で、営業ロープレを行うことで自分自身も話しつつ、先輩の営業トークを聞くことで、よりインプットとアウトプットを効率的に行うことが可能となります。
営業ロープレの種類
営業ロープレは一気通貫して行うのではなく、シーンやテーマを決めて個別に行っていく方が効率的です。ここでは営業プロセスを分けた際の営業ロープレの種類についてみていきましょう。
テレアポロープレ
テレアポロープレはアポイント獲得時に行う電話アポイントメントを獲る際のロープレになります。
この時の目標設定はアポイントを取得することです。
営業を受ける側も過度に親切にする必要はありませんが、基本的には必要ないというスタンスで、営業側が興味を持ってもらうようなトークを心がけましょう。
ヒアリングロープレ
次はアポイントの取得が出来て、実際に会って商談する際の営業ロープレとなります。
ロープレを行う前に、顧客側のもつ課題や悩みなどは設定しておいて、営業トークの中でしっかり営業側がヒアリングして聞き出すようにしましょう。
顧客役側の演技が重要で、甘すぎず、辛すぎず、実際にありそうな受け答えで進めていくようにします。
設定の際に顧客の性格や性質、置かれている立場や状況などもしっかり設定として盛り込んでおくようにしましょう。
提案・クロージング
課題やヒアリングが出来た前提で、提案とクロージングのフェーズを営業ロープレで実施します。
ポイントは、顧客側が提案を受け入れ易い状態にならないよう、事前にクロージングされない理由を設定しておくのがおすすめです。
そのうえで、クロージングされない理由を営業側がトークで乗り越えるようなシナリオを描いていきましょう。
トラブル対応
番外編として、トラブルが発生した時の営業ロープレもフェーズとしてあります。
客先にで起きたトラブルや問題に対して、申し訳ありませんと謝るだけではなく、どのような対応をして、どこに着地点を持っていくかがポイントになります。
過去に実際にあったトラブルなどをケーススタディとして設定しておくと、よりリアルなロープレが実施できるのでおすすめです。
営業ロープレの進め方
それでは次に、実際に営業ロープレをする際の進め方についてみていきましょう。
テーマと状況を用意する
ロープレを行う前に、事前にロープレを行う顧客の会社情報、担当の役職、性格、置かれている状況、課題などを設定しておきます。
顧客のペルソナを設定する
顧客のペルソナも事前に用意しておきます。可能であれば、先輩営業マンが実際に過去に提案したり、受注した顧客を設定するのもやり方の一つです。
営業ロープレを実施する
テーマと顧客のペルソナは事前にロープレを行う参加者が見れるようにしておき、リサーチやイメージトレーニングをしておきます。
ロープレを実施する際、まずは前項の「営業ロープレのやり方」にありました通り、三人一組で顧客役と、営業役と、オブザーバーを決めます。
フィードバックを行う
5分ロープレを行ったらいったん止め、オブザーバーから顧客役と営業役の良かった点と改善点をシェアします。
役割を変更する
次に役割を交代し、オブザーバーが営業役、営業役が顧客役、顧客役がオブザーバーになります。同じように5分行い、三人とも営業役、顧客役、オブザーバーの役割すべてを行います。
三人で行う場合は30分でワンセットとなります。
ロープレの効果を高めるコツとポイント
それでは最後にロープレの効果を高めるコツや、ロープレを行う時間をより有意義にするためのポイントについて紹介します。
買わない客を演じない
やってしまいがちなのが甘くしないようにと意識しすぎて顧客役がやたら厳しくなってしまうパターンです。不必要に高圧的になったり、お客様は神様的な態度をとる必要はありません。
顧客役も、「この課題があって困ってるけど条件が合致すれば提案を受けてもいい」くらいのスタンスで、リアルな顧客を演じましょう。
営業や提案のロープレも重要ですが、よりこの営業ロープレを有意義にするためには、顧客役をいかに本当っぽく演じられるかがポイントになってきます。
動画で録画しておく
営業ロープレ自体は30分となりますが、可能であれば各役割を演じたロープレ状況を動画で残しておくようにしましょう。
設備やスペースが必要になってしまいますが、準備が大変という場合はZOOMを使うという方法があります。ZOOMのソフトを立ち上げて、下のメニューの「レコーディング」を押すと、ZOOM内容を録画できます。
なお、ZOOMは40分でタイムアウトするので注意してください。
ZOOMは以下のリンクより無料で利用できます。
>> ZOOM
録画した動画は後で振り返ってみましょう。
客観的に自分を見ることで新しい気づきを得ることができます。
実施の日にちを決めておく
「営業ロープレをやろう!」と決めても、結局やらなかったり1回で終わってしまったり、なかなか継続するというのが難しいものです。
正直なところ、数回やっただけではあまり効果を見込めず、何回も繰り返し行うことで徐序に身に付き、慣れてくるものです。
おすすめなのは「週に1回この時間!」と実施日を決めてしまうことです。
例えば「火曜日の11時から毎週30分」などと決めてしまうことでルーチン化し、続けることで徐々に新人営業マンの営業力が向上していきます。
営業ロープレのスケジュールや場設定などもすべて先輩営業マンが用意するのではなく、徐序に新人営業マンに任せていくようにしましょう。
時間内に収める
営業ロープレを実施する場合はスタートの時間をきっちり守り、終わりも時間も必ず時間内に終わらすようにしましょう。
実際に顧客の打ち合わせに行くときも、終わる時間を意識しながら話す内容もタイムスケジューリングしますが、営業ロープレ中も本番を意識しながら時間内に話すことをきっちり話す練習を意識しましょう。
緊張感を持って臨む
5分のロープレが終わるといったん切り、オブザーバーの意見シェア時間となりますが、この時に緊張感が途切れて場の空気が緩みがちです。
もちろん、必要以上に堅くなる必要はないですが、営業ロープレはあくまで本番の事前準備です。わきあいあいと行うのは良いことですが、「練習だ」という気構えで気持ちが緩みすぎないように注意しましょう。
営業ロープレもすでに本番と心得よ
今回は新人の営業マンをなるべく早く即戦力にするためのコツや、営業ロープレを効果的に進めるためのポイントについて紹介しました。
営業マンとして働く以上、数字をだしてなんぼですし、新人とはいえすでに戦いは始まっています。
営業ロープレは顧客前に出る前に、なるべくスムーズにヒアリングや提案ができるようになるための方法ですが、営業ロープレの時点ですでに自分がしっかり営業できるか、どれくらい成長できるかが試されている本番であると心して臨みましょう。
今回は以上です。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。