執行役員とは?取締役との役職の違いや役割、報酬の条件・設置するメリットを解説

2022.05.19
執行役員とは?取締役との役職の違いや役割、報酬の条件・設置するメリットを解説

会社の役職である「執行役員」。営業先で執行役員の役職についてる方が同席してくると「偉い人が出てきた!」と、ちょっと緊張しますよね。

会社の偉い人と言えばやはり代表取締役、つまり社長です。そして取締役がいます。さて、それでは執行役員はどのような立場で、どのような役割を担っている人材なのでしょう。

意外と曖昧にとらえている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、会社の役職の一つである執行役員の役割や報酬条件、設置するメリットや取締役との違いについてご紹介します。




執行役員について

執行役員とは、役員によって決定した事業方針や会社としての方向性を、役人に代わってその名の通り「執行」する立場にある人のことを指します。

取締役が多忙であったり、業務が集中してしまって事業運営がままならない時などに、事業主である役員から任命、委託されて取締役の代わりに業務を執行します。

会社と現場のパイプ役を果たし、取締役会の意思決定を現場で執行するための責任と権限を有しています。

執行役員と取締役の違い

法律においての役員は「取締役」「監査役」「会計参与」の3種類と定義されています。「執行役員」は会社法上の役員ではありませんが、実務上において「役員の権限を持つ」ということになります。

取締役は会社法上で必ず「役員」として設置が定められていますが、執行役員は必ずしも設置が必要な訳ではありません。執行役員が存在しない会社もたくさんあります。

執行役員は会社法・商業登記法上は従業員、つまりサラリーマンとなりますので、ここが取締役と執行役員の大きな違いとなります。

会社の方針の意思決定をするのが取締役で、決定した方針を執行するのが執行役員の役割となります。

執行役員を設置するメリット

「取締役が決めたことを代わりに行うのが執行役員なら、最初から取締役がやればいいじゃないか。」

と思ってしまうかもしれませんが、会社に執行役員を設置することで受けられるメリットもあるのです。

取締役が自分の業務に専念できる

起業した社長あるあるの話となりますが、会社を立ち上げてから会社が大きくなる過程で会社の体力がない最初のうちは社長、つまり代表取締役が営業もやれば会社の方針も意思決定、また通常業務も行うことがままあります。

しかし、仕事が増えて会社の規模が大きくなってくると社長が業務に追われて、会社の意思決定や舵を切る判断をする時間が圧迫され、スムーズな経営が困難になってしまう場合があります。

本来は、新しい事業を立ち上げたり、事業計画を練らなければいけないのに、現場仕事に追われて会社経営がおろそかになってしまう。そんな時に便利なのが執行役員という役職です。

執行役員を設置することで、取締役は会社の運営に専念しつつ、会社の意思決定や方針は執行役員が担当することで会社運営と会社業務を切り離して、会社全体の業務が円滑に回るようになる、というわけです。

事業運営の発展と効率化が進む

もう一つメリットとしては、執行役員が取締役と現場の間にはいって会社運営と現場をつなぐハブ役として機能することで、業務の効率化を図ることができます。

社長と現場のトップダウンでは、社員の数が増えてくるとどうしても意思疎通が難しくなることが往々にしてあります。そんな場合に執行役員を設置すると状況が改善する場合があります。

また、執行役員の腕にもよりますが、取締役だけでは難しかった現場のオペレーションも、選任の執行役員が担当することで人事における幅が広がり、それまでには行えなかった改善や発展も期待できます。

執行役員を設置するデメリット

執行役員を設置することで起こりうるデメリットについてもみていきましょう。

取締役と現場の距離が遠くなる

執行役員を設置することで起こる可能性があるデメリットとして、それまで近かったはずの取締役と現場との距離が遠くなってしまうことがあります。

ただし、これは執行役員の腕次第という側面もあり、執行役員の立場になった人間が取締役の意思を執行するだけでなく、現場の声も吸い上げて取締役に正確に伝えることができれば避けられるデメリットにはなります。

名前だけの役職となってしまう

取締役が執行役員としての業務、役割を期待して執行役員の役職を設置したとしても、法律上では定めがない執行役員は立場が曖昧になりやすいという欠点があります。

また、取締役の意思決定をしっかり汲めずに、執行役員独自の考えや行動が含まれてしまうと、会社の運営が逆に遅延してしまう恐れもあり、執行役員という名前だけの役職となりかねません。

執行役員の報酬条件について

執行役員の報酬についてまず前提条件となるのが、執行役員は役員ではないので役員報酬が支給されるわけではありません。他の従業員と同じように、給与(あれば)ボーナスが支払われます。

役員報酬であれば、会社の期の初めに決めた金額で任期中に報酬額がかわることはありませんが、執行役員の場合は給与となりますので、会社の業績や個人の成績によって給与が変動しますし、ボーナスが設定してあれば達成状況によってボーナスの額も変わってきます。

それでは、実際にもらう給料についてはどれくらいの額になるのでしょうか。

公共機関が公開している人事院の民間給与の実態(令和3年職種別民間給与実態調査の結果)によると、主任、課長、部長の月の平均給与は以下のようになっております。

  • 事務部長、技術部長、約70万円 / 年収約840万円
  • 事務課長、技術課長、約60万円 / 年収約720万円
  • 事務主任、技術主任、約40万円 / 年収約480万円


  • 執行役員は部長よりも上の役職となりますので、常時の情報から鑑みるに、執行役員の給与は年収850万円から950万円ほどが平均額になるのではないかと推測できます。

    もちろん、会社の規模が少ない会社の執行役員は上記よりも少し少ないこともありますし、大きな会社になれば責任や業務内容も変わるのでもっと高い報酬にはなってきます。

    >> 人事院の民間給与の実態(令和3年職種別民間給与実態調査の結果)

    執行役員は役員が現場から離れたい場合に設置メリットが大きい役職

    今回は会社の役職の一つである執行役員と取締役の役割の違いや、報酬の条件、立ち位置などについて紹介しました。

    日本で執行役員の設置が流行ったのは1997年にソニーが執行役員精度を導入したのがきっかけと言われています。

    海外の企業統治モデルに倣って、取締役の業務執行を分離する狙いで執行役員制度を導入したところ、取締役が本来の仕事である監督や意思決定の仕事に従事できたため、日本におかれ他の会社でも執行役員制度を導入する会社が増えました。

    もちろん、先にも述べたように現場と役員の距離が遠くなるというデメリットもあります。しかし、会社は利益を出すための機関であるべきですし、取締役や社長が現場仕事ばかりしていたら会社の成長を阻害してしまいかねません。

    会社役員が会社運営の仕事に専念するためには、執行役員の設置は一つの良い手段だと言えるでしょう。

    執行役員以上の役職である専務や常務についての仕事内容や会社での立場、役割については以下の記事にまとめています。よろしければこちらの記事も合わせてご参照ください。

    >> 専務と常務はどっちが偉い?役職における立場や役割の違いを解説

    今回は以上となります。
    最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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